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相続まめ知識

1.相続とは
  2.誰が相続するの?
3.財産の分け方
4.相続財産となるもの 
5.相続発生からの手続きスケジュール
6.相続税の計算方法 
7.相続放棄はできるの? 
8.相続の税務調査とポイント


1.相続とは

相続とは、人の死亡によって、その人(被相続人)の財産・債務を、被相続人の配偶者や子など相続人となる方が受け継ぐことをいいます。

相続が発生すれば、葬儀の準備、年金の手続き、生命保険の請求や、被相続人に不動産収入や事業収入などがあった場合については準確定申告の手続き、相続財産の調査、遺言書の有無の確認、遺産の分け方について相続人間での話し合い、相続税の申告の手続き、相続税の納税の準備、不動産や金融財産の名義変更手続きなど、短い期間でたくさんのやらなければならないことがあります。


2.誰が相続するの?

相続人になれる方は次のとおりです。

相続順位 相続人となる者
第1順位 子やその代襲相続人 配偶者は常に相続人
(内縁の夫や妻は含みません)
第2順位 直系尊属(父母、祖父母)
第3順位 兄弟姉妹及びその代襲相続人※

※兄弟姉妹の子まで(再代襲なし)

上表のように配偶者は常に相続人となります。
また相続人には順位があり、後順位の者は先順位の者がいる場合には相続人となることはできません。
例えば相続人に第1順位の子がいる場合、第2・第3順位の父母や兄弟姉妹などは相続人とはなれません。

法定相続分は次のとおりです。

相続順位 相続人 法定相続分 備考
第1順位 配偶者 1/2 子が複数いるときの相続分は均等分
1/2
第2順位 配偶者 2/3 直系尊属が複数いるときの相続分は均等分
直系尊属 1/3
第3順位 配偶者 3/4 (1)兄弟姉妹が複数いるときの相続分は均等分
(2)半血兄弟姉妹(父母のいずれか一方を同じくする兄弟)の相続分は全血兄弟姉妹(父母とも同じ兄弟)の相続分の1/2
兄弟姉妹 1/4

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3.財産の分け方

(1)遺言書がある場合

生前に自分の財産を誰にどのように相続させるのか、あらかじめ遺言書で指定している場合は、本人の意志を反映するために法定相続分に優先し、その内容に従い財産を分割することになります。

ただし、遺言書の内容が1人の相続人に財産が集中するような場合ですと、他の相続人が納得いかなければトラブルになることもあります。このような場合、相続人全員の同意があれば、相続人の話し合いで決めた分割方法で分けることも可能です。

全員の同意がなければ、遺言書の内容に沿って分割することになります。
ただし、相続人には「遺留分」という一定割合を最低限受け取ることができる権利が認められています。
遺留分を侵害された者は相続財産を多くもらう人に請求することにより、遺留分までの財産を相続することもできます。

(2)遺言書がない場合

一方、遺言書がない場合、相続人が話し合い、全員が納得して財産の分割を決めることになります。

相続人全員が納得し円満な財産の分割ができれば一番良いのですが、そう単純でないのが相続です。
民法では、相続できる財産の割合を定めています。これを「法定相続分」といいますが、この相続分を全員が主張しすぎると、同じ相続人でも、親からの生前贈与を受けていた子がいたり、1人の子に介護負担の偏りがあった場合に、法定相続分で分けることが感情的なしこりを発生させ、トラブルに発展し分割の話し合いがまとまらない、といったケースもしばしばあります。

法定相続分で分けるのも1つの案ですが、家族みんなが話し合い、最後はお互いが譲り合いの精神で決めることも大事なのではないでしょうか。

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4.相続財産となるもの

プラスの財産

土地
(土地の上の権利含む)
田畑 自用地、貸付地、耕作権、永小作権
宅地 自用地、貸付地、貸家建付地、借地権など
山林 普通山林、保安林(これらに対する地上権、賃借権)
その他の土地 原野、牧場、池沼、鉱泉地、雑種地(これらに対する地上権、賃借権、温泉権、引湯権)
建物 家屋・構築物 自用家屋、貸家、駐車場、広告塔など
事業(農業)用財産 機械・器具・農機具・その他の減価償却資産 機械装置、農機具、自動車、船舶、牛馬、果樹、営業権など
棚卸資産 商品、製品、半製品、原材料、農作物など
売上債権 売掛金、受取手形
有価証券 特定同族会社株式・出資 取引相場のない株式
上記以外の株式・出資 上場株式、気配相場のある株式
公債・社債 国際、地方債、社債、外国国債
受益証券 証券投資信託、貸付信託の受益証券
現預金 現金 手許現金、小切手
預貯金 普通預(貯)金、当座預金、定期預(貯)金、通常貯金、定額貯金、定期積金、金銭信託、外貨預金など
家庭用財産 生活用具 家具、什器
その他の財産 みなし相続財産 生命保険金等、退職手当金等、生命保険契約に関する権利等、その他の経済的利益
立木
趣味用品 貴金属、宝石、書画、骨董、ゴルフ会員権、船舶、競走馬
その他の財産 電話加入権、貸付金、未収配当金、未収家賃、自家用車など

マイナスの財産

債務 支払債務 借入金、買掛金、支払手形
公租公課 未払の所得税、住民税、事業税、固定資産税など
その他の費用 未払費用、未払利息、未払医療費、預り敷金、保証金など
葬式費用※ 葬儀費用 葬儀費用、お布施、戒名料など

※香典返戻費用、初七日・四十九日などの法要費用、墓地・仏壇・墓碑などの購入費などは葬式費用として相続財産から控除することはできません。

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5.相続発生からの手続きスケジュール

被相続人の死亡(相続の発生)

  • 死亡届を7日以内に市区町村に提出する
  • 遺品の整理
  • 遺言書の有無の確認(公正証書以外の遺言があれば家庭裁判所で検認手続)
  • 法定相続人の確定(出生から死亡までの戸籍により確認)
  • 被相続人の財産と債務(保証債務を含む)の確認
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3カ月以内

  • 相続の放棄、限定承認(相続財産の範囲内で債務を承継すること)を行う場合、家庭裁判所へ申述の手続きを行う
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4カ月以内

  • 被相続人の所得税と消費税の申告
    (被相続人の死亡の年の1月1日から死亡日までの所得税と消費税の申告)
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10カ月以内(相続税の申告と納税期限、延納・物納の申請期限)

  • 財産と債務の評価
  • 相続税額の概算
  • 財産と債務の分割協議案
  • 相続税の納税資金の考慮(現金納付が困難な場合、延納や物納の手続きを行う)
  • 分割協議の確定
  • 分割協議書の作成(遺言がある場合は不要)
  • 不動産の相続登記と預金の名義変更
  • 相続税申告書の作成、相続税の納付
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1年以内

  • 遺言が相続人の遺留分を侵害しているときには、遺留分の減殺請求が可能
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3年10カ月以内

  • 相続税の取得費加算の特例の適用期限
    (相続税が課税された財産を売却した場合の所得税の減税特例)
  • 相続で取得した非上場株式を発行会社に譲渡した場合の特例の適用期限
    (みなし配当課税(最高税率50%)とせず、株式譲渡益課税(税率20%)とする軽減特例)

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6.相続税の計算方法

相続税の計算方法は次のステップで計算されます。

  • (1)相続財産・相続債務の評価
  • (2)課税遺産(税金のかかる財産)の総額を計算する
  • (3)法定相続分通りに相続したとして相続税の総額を一旦計算する
  • (4)実際の遺産取得割合で相続税の総額を按分する
  • (5)各人が実際に納める税額を計算する

(1)相続財産・相続債務の評価

財産の評価は、実務では基本的に、国税庁が「財産評価基本通達」という財産の種類ごとに評価方法や基準を設けていますので、これに基づいて計算します。


(2)課税遺産の総額を計算

課税遺産の総額は、下記の算式で計算します。
課税遺産の総額=ア(課税価格)-イ(遺産に係る基礎控除額)

ア.課税価格の算出
課税価格=相続・遺贈財産+(みなし相続財産-生命保険金等の非課税金額※)+相続時精算課税適用財産-債務及び葬式費用+3年以内の生前贈与財産

※生命保険金等の非課税金額
非課税金額=500万円×法定相続人の数
(生命保険金等の非課税金額と同様の計算で、別枠で退職手当金等の非課税金額が認められています。なお、相続放棄した相続人が受け取った場合や、相続人以外の人が受け取った場合には、非課税枠の適用を受けることができません)

イ.遺産に係る基礎控除額の算出
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

この計算過程を図に表すと・・・

(3)法定相続分通りに相続したとして相続税の総額を一旦計算する

法定相続人が、法定相続分通りに財産を相続したと仮定して、それぞれの相続税を計算し、合計して相続税の総額を求めます。
例えば、配偶者と子供2人が相続した場合、下記のように相続税の総額を計算します。

knowledge_img_02.gif

(4)実際の遺産取得割合で相続税の総額を按分する

相続税の総額を、実際の各人の遺産取得割合で按分します。
上記(3)の例より、配偶者と子供2人が均等に3分の1ずつ相続した場合。

knowledge_img_03.gif

(5)各人が実際に納める税額を計算する

各人に割当られた相続税額から、贈与税額控除などの控除のうち適用対象となるものを控除した後の税額が、各人の納付すべき税額となります。

knowledge_img_04.gif

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7.相続放棄はできるの?

民法では、相続人が相続するかしないか、3つの選択肢を認めています。

  • (1)単純承認
  • (2)限定承認
  • (3)相続放棄

単純承認は、プラスの財産・マイナスの財産もすべてを受け継ぐことになります。

限定承認は、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を受け継ぐ条件付相続のことです。
限定承認は相続人全員で行わなければなりません。

相続放棄は、全財産・債務を放棄することです。
相続放棄は各相続人が単独で手続きを行うことができます。

手続きの期限は、限定承認も相続放棄も、相続の開始があったことを知った日から3カ月以内に家庭裁判所に申述を行う必要があります。

残された財産がマイナスのほうが多い場合は、相続放棄すると、借金を背負うことはありません。

残された財産がプラスかマイナスか分からないようなときや、マイナスのほうが多い場合でもどうしても相続したい財産がある場合は、限定承認を選択することも有効です。

また、プラスの財産よりマイナスの財産が多いときに、相続放棄すると後順位の法定相続人にマイナスの財産を相続させてしまうことになります。周りに迷惑をかけないようにするには、相続人全員で限定承認するのも手です。

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8.相続の税務調査とポイント

相続税の申告が終わったからといって安心はできません。
次にまっているのは相続税の税務調査です。

相続税の税務調査は、故人に帰属する全財産が漏れなく適正に申告されているかの確認を目的として行われます。

調査官の主な質問事項

(1)故人および相続人の経歴など

  • 相続関係図表の確認
  • 学歴、職歴、趣味・嗜好

(2)病歴および死亡時の状況

  • 病名、発病時期、病状経過、入退院の状況

(3)故人の財産管理と運用状況

  • 同居家族の生活費の負担者
  • 取引金融機関名と取引状況
  • 普段の現金預金の管理者と入院後の管理者
  • 故人が同居家族以外の者への生活費負担の有無

(4)預貯金の引き出しとその使途

  • 相続開始前5年の間の大口引き出し、または定期預金解約の有無およびその使途
  • 故人の預金口座から相続人の預金口座に大口の資金移動がないか、生前贈与の有無などもチェック
  • 死亡直前の引き出しや解約金と手許現金の申告金額との差額理由
  • 故人の預貯金が分割協議書通りに名義変更が行われたか

(5)相続人の財産形成状況

  • 同居相続人の所得状況と預貯金の確認
  • 無収入の配偶者などの預貯金の発生原因
  • 子供や孫の預貯金が急激に増加している理由

(6)借入金の発生原因とその使途

  • 借入金はいつ、何のために発生したのか
  • その使途の内容の確認

(7)過去に不動産などの売却があった場合、その使途

  • 不動産売却はいつ発生し、その売却金の使途は何か

(8)土地評価の適正度

  • 利用状況、権利関係の確認

税務調査の最大のポイントは家族名義の預貯金、つまり「名義預金」

名義預金の中に、相続人名義の預貯金がある場合や名義人の知らない預貯金がある場合、税務調査において家族名義の預貯金が被相続人のものなのか、相続人のものなのかで揉めることがあります。
名義人の収入に見合わない大きな預貯金があると、被相続人の名義預金として指摘を受ける可能性が大きいです。

調査官が預金通帳をチェックするポイントとして、次のようなものがあります。

  • (1)被相続人の預金通帳と相続人の預金通帳の照合
    被相続人からの引出し日と遺族の預け入れ日が同時期であれば、贈与だと認定される可能性が高い
  • (2)預金通帳の印影のチェック
    相続人名義の通帳に被相続人と同じ印影が使用されていれば、被相続人の名義預金の可能性が高い

家族名義の預貯金が被相続人の名義預金と認定されないようにするには

(1)名義人の預貯金の原資は名義人の収入原資であること(下記は収入原資の例)

  • 不動産の売却代金
  • 給料や役員報酬、退職金などの貯蓄
  • 親からの相続で得た
  • 贈与 など

(2)名義人が管理支配をし、自由な使用収益権を持っていたこと(下記は例)

  • 口座開設、伝票の筆跡が名義人のもの
  • 印鑑は名義人が固有の印鑑を届出し所持、使用
  • 通帳、カード、定期預金証書は常に名義人が所持、使用
  • 名義人が自由に預入、引出し、解約できる

税務署は、銀行の反面調査も行い、家族全員の預貯金を把握するので、被相続人の名義預金や直前解約は「税務署は分からないだろう」と思って申告しないと、後で大きな代償が待っています。
申告する際は、相続に強い税理士に相談し、適正な申告をしましょう。


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